題名:「宗教」のギモン、ぶっちゃけてもいいですか?
著者:島田 裕巳
出版社:実務教育出版 (2017/4/26)
献本いただき書評いたします。
この本は、宗教がどんなものか曖昧な小学生くらいのお子さんには良い本だと思いました。
ゆったりした行間隔に、重要なところは太く大きな文字にしてあり、
数ページおきに漫画での進行が入ったりなどと、注意を引かせるような工夫があります。
ただし、大人が読むには逆に集中力が削られて苦労しました。
この本は、日本における宗教感覚・概念などを含め、キリスト・ユダヤ・イスラム・仏教・神道などのことや、宗教と思いがちなその他の風習や習慣なども合わせて記載してあるので、一読しておくと何となく理解していたものが整理できるのではないかと思います。
面白いと思ったのは、若い頃は男性は宗教に対し拒否的な感覚が強いのに対し、女性は宗教を自然に受け入れやすいのだそうです。
それは、幼児期よりどれくらい身近にあったかの違いであって、女性の方が家庭などの習慣や、ミッションスクールなど宗教に近く接しているからだそうです。
逆に60歳代になると男性も人生を考え人が増え、グンと宗教に興味を示して同じくらいの割合になるのだとか。
あとは、なるほど納得したのは、日本の神様は場所限定というところ。
もともとは宗教感なんて日本人には意識なく、自然崇拝や八百万の神といわれるくらい自然に拝んでいたので、そこら中の木や石ころ、風にだって拝んじゃうから、あまり場所限定と言われてもパッっと結びつきませんよね。
これまた陰陽道や妖怪、現世(うつしよ)・常世(とこよ)・幽世(かくりよ)なんて考えると更にややこしくなってきます。
神様自体は神聖なもので、神聖な場所、つまり神社などの場所に詣でないと正確には拝することはできないのだそうです。
逆にキリスト・ユダヤ・イスラム教の神様はどこにでもいて、いつでも拝むことがでいるのだそうです。
そのため、教会・シナゴーグ・モスクなどの建物自体は祈るための場所であって、神様を祭っている場所ではないのだそう。
こういった違いがわかるととても面白いですよね。
子供に聞かれて恥じないためにも、海外の旅行先で無礼を働かないためにも一読しとくのは良いことだと思いました。
難点なのは、なんでもすぐに例えが出てきますが、その例えが全くもって分かりづらい。
例えば、
お墓参りの習慣は、土葬のためお墓など建てていなかったため無かった。
→博多の駅前の道路の大陥没事件は地下に空洞が出来たので起こったが、空洞がなければ起こらない。
本山末寺体制
→大手居酒屋チェーンに吸収か廃業か
小学生に読ませるにも、舞台が居酒屋のカウンターでの会話なので、小学生に理解できるかどうか怪しいところです。