題名:ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる〜心を洗い、心を磨く生き方
著者:鍵山秀三郎 / 亀井民治
出版社:PHP研究所
街頭やトイレなどの徹底した掃除を40年以上続け、小さな当たり前をやり通す大切さと説いた、著者の信念のある言葉が詰まっています。
鍵山秀三郎さんはハットの創立者だそうです。
小さい頃から培った忍耐強さで、困難な時にも小さな事でもコツコツと続ければ大きな力になると会社の掃除から始められ、トイレ掃除や街頭の清掃活動を40年以上に渡って続けておられます。
セミナーや講演会の際は「大きな努力で小さな成果を」とおっしゃるそうですが、
「難しくて特別なことをしなければ、成果が上がらないように思い込んでいる人が多くいるが、世の中のことは平凡の積み重ねが非凡を招くようになっている」とのことです。
そんな作者は「誰にでもできる平凡なことを、誰にもできないくらい徹底して続けてきた」と実際やり遂げられてきたから言える発言の重みを感じました。
確かにそれは、本来の人を思いやる気持ちだとか人と違うことをする勇気だとか長年続けていく忍耐強さとか人として素晴らしい事だと思います。
生半可でやろうとしてもなかなか出来ないのもです。
お手本に見習いたいと思う一方、現代においては工夫と同時にある程度の効率も現代を生きていくためには切り捨ててはいけないのではないかと感じました。
ジェンダーフリーについても意見が書かれており、女性は子孫を残すため「自分を守る」体質は生まれながら身についている本能で、その自己防衛機能は時に自己中心として表面化される場合がある。
それが表面化されないように工夫されてきた男女や社会の制度が近年崩れてきたとのことです。
女性の活躍については一面を見るととても素晴らしいですが、選択肢の自由の分だけ課せられる義務も多くなります。
それに応じて自己防衛が働き上品さや心の余裕的なものが見失われるのだとしたら、それは悲しいことだと思いました。
小さな行動からでも清掃が与える影響を改めて感じ取り、読んでいる最中から玄関先を掃除したくなる1冊です。
読書時間 1:23