【書評】国土が日本人の謎を解く

題名:国土が日本人の謎を解く

著者:大石久和(おおいし・ひさかず)

出版社:産経新聞出版 (2015/6/29)

 

「BOOK」データベースより
自虐も「戦後洗脳」も吹き飛ぶ日本人論。なぜ日本人はここまで世界の人々と違うのか。「戦後」よりはるかに長い時間が大量虐殺の歴史を持つ国々と、災害死の国・日本の違いを生んだ。国土学の第一人者が日本人の強みも弱みも解き明かす。戦後70年だからこそ問い直したい日本人とは何か。「日本人」を知れば他国のこともわかる!

これは久々の満足のいく内容でした。

私は以前「雅楽」を教わっていたのですが、その大先生がFBでオススメされているのを拝見し、日本からおり寄せたものです。

国土と言っても、島国だとか、山ばかりで平地が少ないとかそう言ったイメージしか湧かず、どう結びつくのかピンとこなかったのですが、なるほど国土が歴史を作り日本人の感じ方や思想などを形成して行き我々の姿があるということが理解できました。

 

大量虐殺の歴史を持つ大陸の国々と、自然災害の歴史を持つ日本。
同じ「人をなくす」という悲しみの中でも全く違う感情で生成された死への感覚があります。

世界で起きてきた残酷さのスケールが違いすぎて、日本人には到底理解ができません。

「戦後洗脳」も日本人の最大の過ちから全てを受け入れようとして現在に至っていますが、世界の残虐のスケールを理解できていないのと、自然災害を受け入れ周りとの調和を何よりも優先する日本人の感覚がそうさせてしまったのだと思いました。

ヨーロッパでは、外敵から身を守るために城壁の中に住むため「市民」が存在し「公」が発見された。

中国では広大な大陸を支配するために暴力的な政権交代が行われてきて「権力」が発見された。

日本では全てが納得のいくまで話し合いが行われる「譲り合い」の文化が「共」を発見した。

 

これだけ違う歴史を歩んできたのに、戦後の日本人は「個」を強要され、日本人特有の力を発揮できなくなっています。

 

ここからは話が少しづれますが、アメリカに住んでいる日本人は、あまり日本人同士でのコミュニティーを作らず現地の人々に溶け込んで生活しているので、近くに住んでいる日本人の存在を知らないといった事が多いようです。

現にこの現象は私もよく実感しています。

先日ある記事を読んだら、
アメリカ人から見たらアジア人は一括りの感覚だそうですが、それでもアメリカ大陸にアジア人は5%程度しか居らず、各国を分けていけば日本は激マイノリティーに分類されるはずなんだそうです。
ですが日本人は優秀で生活に問題を起こすことなく馴染み、戦時中アメリカに住む日系人は理不な扱いを受けても黙って従っていたので、アメリカ政府側も軽んじてマイノリティーには分類されずに超優遇マイノリティー特典が受けられない。
といった記事でした。

特典についてギャーギャーいうのは日本人として美徳が損なわれますが、軽んじられたりするのは癪ですよね。

 

交渉の席において、「前回はこちらが折れたので・・・」と思うのは日本人だけで、
世界では「前回も折れたので今回も折れるはずですよね?」となるそうです。。。

おぉ怖いっ!!
私には世界の感覚が理解し難いですが、不利益になるのであれば、相手のことを知っておかなければなりません。

また、しっかり自分たちはどうしてこういった思考になるのかも知っておくことは、相手を理解するのにとても役立ちます。

 

そんな点から、この本は多くの事を学べる1冊でした。

ぜひ多くに人に読んでいただきたいです。

 

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